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フランス醸造地を語る vol.10 シャンパーニュ編

  • 2020.02.27

    シャンパーニュ地方は、スパークリングワインの産地として、世界で最も有名かつ最高峰のクオリティを誇ることは、誰もが認めるところだろう。だが、シャンパーニュ地方は、フランスのワイン産地としては北限に位置し、その冷涼な気候帯がゆえ出来上がるブドウの成熟度が足りなかったりと、歴史上常に苦労が絶えなかった産地でもある。今では、世界を代表するスパークリングワインの産地として完全に認知されているが、改善の繰り返しによるここまでの歴史が、今のシャンパーニュの世界的名声を築き上げたのだ。

     ワイン産地としては冷涼過ぎるとも言える気候のため、毎年良いブドウが収穫できる保証がない。そこで考え出されたのが、「アサンブラージュ」つまり「調合」である。毎年、ワインをストックしておき、複数の年、複数の品種、複数の畑のブドウから造られたそれぞれのワインを、各メーカーのブランドイメージ、求める香り、味わいにするために、絶妙な配合でブレンドされる。

     そして完成されたワインを瓶に詰めて、そこに「酵母」と「糖」を添加、王冠で栓をすることで、再び瓶内のワインが再発酵を起し、あの見事なまでにきめ細かく、立ち上る泡が生まれるのである。この製法のことを「瓶内二次発酵」と言い、通称「シャンパーニュ方式」とも呼ばれている。

    昔は、ワインが発酵中、その冷涼な気候がゆえに酵母の活動が途中で停止してしまったのだが、その時点で「ワインが完成した」と思い込んで瓶に詰めたものの、また春になって暖かくなると酵母の活動が再開し、その時にガスが再び発生し瓶が破裂したという。この出来事が今の「シャンパーニュ」の泡を生み出すきっかけとなったという話である。

     シャンパーニュのボトルは通常のものより重く感じるのは錯覚ではなく、この強いガス圧に対抗し、瓶の破裂を防ぐために分厚い瓶になったということを初めて聞いた時、なるほど!と思った。

     現在、シャンパーニュはシャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエの三つのブドウ品種のいずれか、もしくはブレンド(通常ブレンドすることが多い)で造られることがほとんどだが、どの村のブドウを使うか、どういった比率でブレンドするか、どの年のブドウを使うか、熟成期間をどれくらいとるか等、その個性はそれぞれの造り手ごとに見事に異なり、またそれが各社のブランドイメージを作り、魅力とオリジナリティを発揮することにも繋がる。

    私は過去、シャンパーニュ地方に四度訪れた経験がある。新しいメゾンを訪問したり、同じメゾンを再訪することもあるが、毎回新しい発見や驚きがある。

    そしてやはり、現地のメゾンでいただくシャンパーニュ は格別だ。

    「シャンパーニュ」には、ここでは語り尽くせないほどの逸話や、それにまつわる名言、ストーリーがある。

     一つ私が大好きな名言があるので皆様にご紹介したい。著名なシャンパーニュメゾンの当主の方に直接聞いた言葉であるが、今でも強く印象に残っていて、ワインスクールのシャンパーニュの授業の際にも、この言葉を使わせていただく時がある。

     「特別な時にシャンパーニュを開けるのではなく、シャンパーニュを開けたその時全てが特別になるんだ。」

    シャンパーニュはやはり、とても神秘的であり、魅力的な芸術品と言えるだろう。

    


    記事著者

    • 田邉 公一

      ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」講師。また、都内レストランや企業ドリンクアドバイザー、各種飲料のイベント監修、コメンテーター、執筆、プロモーションなど幅広く活躍。日本酒の難関資格「SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL」の1 人。2007 年ルイーズ ポメリーソムリエコンクール優勝。

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